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2017年2月10日 (金)

収入が含んでいるもの

 俳優・タレントの坂上忍さんが書いた『スジ論』(2016年発行、新潮社)を読んだ。中身は週刊新潮の連載が書籍化されたもので、軽妙な筆致ながら時に鋭利な自論を展開しているところが印象的であった。

 その中に、「言わんとするところよく分かる」と強く思ったくだりがある。それは男の涙について語った文章で、年棒を数億円もらっているプロ野球選手がスランプに陥った後、ようやくある試合で活躍し、ヒーローインタビューに応じて見せた涙に《かなりの違和感を覚えた》という。

 坂上さん曰く、《その年棒に「涙の我慢代」が入ってる》のである。思うような結果を出せない時に、ファンから罵声を浴びたにせよ、数億円の中にはそれに耐えて涙を見せない我慢代が含まれている、それを自覚してほしいという趣旨だ。プロ野球選手が流す涙で感動する人もいるだろうが、私は坂上さんの言っていることはその通りだなと思った。

 翻ってわが身。収入が何を含んでいるかは、私のような者にもちょっと考えさせられる点である。このところ、仕事でストレスを感じて家でも悶々と考えることが多かったが、「この“我慢代”は、私の時給には含まれているはずがない」と思うのだ。一般的な時給は、その時間に提供する労働力への対価として生じるものであって、それ以上でもそれ以下でもない。

 これを大きく逸脱する勤務状態が続いた時は、私が身の振り方を考え直す時だと思う。


(2017年2月10日記)

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