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2016年10月27日 (木)

“キャリアアップ”メール

 日頃お世話になっている登録派遣会社から、先日次のようなメールが送られてきた。

「教育・研修に関する案内です。

 ご存じの通り、昨年の法改正により、派遣社員の方のキャリアアップのための派遣スタッフの方への教育訓練が義務化されました。弊社につきましても、〇〇〇を活用した研修メニューの準備が整いましたのでご案内いたします(以下略)」

 説明が不十分で示達ばかりを意図した文章だが、一読して私はある言葉が気になった。それは“キャリアアップ”である。というのも、私の頭の中に、昔読んだ本の内容が残っていたからである。

《キャリア教育関係者はキャリアアップという言葉を絶対に使わない。キャリアにはアップもダウンもないからだ。この世界ではその言葉を使った瞬間、素人と認定される》

(『「意識高い系」という病 ソーシャル時代にはびこるバカヤロー』(2012年発行、常見陽平著、ベストセラーズ))

 同じ著者が、別の本でもう少し詳しく述べているので、引用してみたい。

《「キャリアアップ」幻想がみんなをおかしくしている。カッコつきにしたのはちゃんと理由があって、キャリア教育にかかわっている者から言わせると、そこにはアップもダウンもなく、すべてが自分が歩んできた轍なので、「キャリアアップ」という言葉はおかしい。この言葉を使っている人がいたら素人だと思っていい》

(『僕たちはガンダムのジムである』(2012年発行、常見陽平著、ヴィレッジブックス))

 同感である。私は数年前に約二十年勤めた企業を退職し、<正社員→個人投資家  派遣社員  自由業>へと稼ぎ方が移行しているが、これをキャリアアップとかキャリアダウンといった形で捉えたことはない。人生において、どのように仕事を位置付けて自分が向き合うかという話だから、アップもダウンもない。しかもそれを、人様に決めつけで言われる筋合いもないのである。

 
私はもう一度、先のメールを読み直してみた。丁寧に案内しているように見えて、《派遣社員の方のキャリアアップのための派遣スタッフの方への教育訓練》とは、相当に“上から目線”だと感じられた。「上から見下ろしつつ、実際は大して意味のない研修をやるんだろうな」という直感が働いたが、この見立てはおそらく間違っていない。長年に亘る社会人経験と社会観察は、こうした時に活きるのである。

(2016年10月27日記)

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