« 職場での黒髪への反応 | トップページ | 最近見られる格差の拡大 »

2016年10月25日 (火)

電車内での化粧の是非

 今どきこんなことが、と思うことを経験した。普段は使わない都内の私鉄に乗った時のこと。車両の中に設置されたモニターを見ていると、「車内での化粧はご遠慮ください」とマナーを訴えるCMが流れてきた。これには正直びっくりした。

 はっきり時期は明示できないが、私の記憶では、電車の中で女性が化粧をするのはみっともないと年長者や世の男性が眉をひそめたのは、昭和の時代に遡る(おそらくは私が子どもの頃)。それが今ではもう、すっかり見慣れた光景になっているので、私には逆にこのマナー啓発が新鮮に映った。いや、違和感を覚えたと言った方がいいかもしれない。

 いつの頃からか私は、「自分の知らない人たちの前で化粧をしたって、迷惑をかけているわけでもないし、別にいいではないか。どう思われても赤の他人だし」と考えるようになった。私たちが常識、社会規範と呼ぶものやマナーには絶対的な正解がなく、時代の変化とともに中身は変わっていくものだから、そこは柔軟に捉えてもいいのではないか、という考え方が裏にある。だからこそ、時代に逆行した感じさえしたマナー案内に目を疑ったのだ。

 
私は化粧をしないが(そんな奇癖はないが)、夏の暑い日にはたまに車中でネクタイを締めることがある。ネクタイ着用が必要になる仕事の現場に着くまでは、首回りを楽にしたまま過ごしたいためだが、これもこの電鉄会社の基準からすれば、化粧に準じたみっともない行為と位置付けられ、マナー違反とされそうな気がする。

 なぜこの私鉄の女性利用客が、「このマナー案内はお節介です」とか「要りません」と言わないのか私には不思議に思える。ひょっとすると、心中違和感を覚えている女性は多いが、スマホの操作で忙しくてさほど気にかけていないのかもしれない。

 全くの想像だが、この私鉄は、マナーの良い乗客を増やすことで、運営する路線の評判を高め、さらには沿線地域の価値向上まで視野に入れて、マナー啓発に取り組んでいるのかもしれない。それは企業の深謀遠慮として理解できるが、それでも、と思う。むしろ「車内での飲食はご遠慮ください」と飲食しないマナーを徹底した方がよいのではないか。飲食は車両が汚れる恐れがあるため、乗客の理解をはるかに得やすいと思うのだが。

 長くなったが、冒頭書いたように、私はこの私鉄にたまたま乗った一利用客にすぎない。だから、私が以上のようなことを言うこと自体が“お節介”と言われればそれまでである。「地域のことは、その地域の人が決める」という当たり前の考え方に引き戻されることになりそうだ。

(2016年10月25日記)

« 職場での黒髪への反応 | トップページ | 最近見られる格差の拡大 »

価値観・性格」カテゴリの記事

女性・女子論」カテゴリの記事

社会全般」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573382/64378458

この記事へのトラックバック一覧です: 電車内での化粧の是非:

« 職場での黒髪への反応 | トップページ | 最近見られる格差の拡大 »