« 感じのいいユーモア | トップページ | 職場での黒髪への反応 »

2016年10月23日 (日)

ボブ・ディラン氏は悪くない

 メディア報道によると、ノーベル文学賞に選ばれた米国の歌手ボブ・ディラン氏が受賞に何の反応も示さず、選考委員会であるスウェーデン・アカデミーはディラン氏に連絡を取れない状態が続いている。そのため、スウェーデン・アカデミーの委員からは、「無礼で傲慢だ」という声があがっているという。

 この非難の弁を知って私は、「選考委員自身に突き刺さる言葉だなあ」と思った。そもそも文学の世界に身を置いていなかったディラン氏にとって、ノーベル文学賞受賞は予想だにしなかったことだろう。スウェーデン・アカデミーに「選んでください」とか「受賞を心待ちにしています」といった態度で待っていたものではないはずで、選考する側が“片思い”で贈った賞と言っていい。

 それを、相手にされなかったからといって、不快感を示したり非難のコメントを公にするのは、ちょっと筋違いという気がする。ディラン氏は内心、「文学賞は自分が受ける賞ではない」と考えているかもしれないし、「そもそも(権威主義的な)ノーベル賞には関心がない」という価値観をお持ちかもしれない。ディラン氏が沈黙している理由も分からないのに、勝手に責めるというのはいかにもおかしい。

 ゆえに「無礼で傲慢だ」は、ディラン氏を選んだ委員自身に跳ね返ってくる言葉であると私は思う。つまり、そういう発言をした人こそ「無礼で傲慢」であることを示しているのだ。こういう人は、「ディラン氏はノーベル文学賞を侮辱した」とでも言いたいのだろうが、ディラン氏に自分がメンツを潰されたため、我慢ならなくなった、というのが真実ではないだろうか。予定されている受賞式にディラン氏が姿を見せず、メダルと賞状が宙に浮いてしまうお寒い光景を想像すると、“メンツを潰されたから”というのが、コメントの背景にあるように思えてならない。

(2016年10月23日記)

« 感じのいいユーモア | トップページ | 職場での黒髪への反応 »

人物」カテゴリの記事

価値観・性格」カテゴリの記事

政治・国際情勢・歴史」カテゴリの記事

趣味・嗜好」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573382/64385621

この記事へのトラックバック一覧です: ボブ・ディラン氏は悪くない:

« 感じのいいユーモア | トップページ | 職場での黒髪への反応 »