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2016年10月13日 (木)

『電通事件』の教訓はどこへ(その3)

企業人事やキャリアなどを専門とする多くの人が説いていることだが、私は新入社員について、「安易に退職せずに、最低3年間は辞めずに踏ん張った方がいい」と考えてきた。3年位は同じ勤め先で働かないと、会社の仕組みやビジネスの流れを十分理解できないことと、早く辞めても転職先ではそれまでのキャリアを評価してもらいにくいことが、その主な理由である。

 しかし、電通における痛ましい事件をニュースで読むうちに、辞めた方がいいケースも例外的にあると考えるようになった。かつての『電通事件』では新入社員がうつ病に罹り、入社約1年5カ月後に命を絶っている(1991年)が、昨年起きた過労死でも亡くなったのは新入社員で、入社1年目の12月のことだった。これは、“3年の辛抱”などと頑なな考え方に囚われていると、救われなくなってしまう命があるということではないか。

 昨年の事件では亡くなった本人が、仕事が辛いこと、心身に異常をきたしていること、さらには希死念慮が生じていることをツイッターで呟いていたにも関わらず、彼女を知る人たちは助けることができなかった。これは、友人・知人・同僚が責められるべきということではなく、人と人とを繋ぐツイッターという手段にも限界があることを示していると思う。

 今となっては、亡くなってしまった方は帰ってこないため、そこはつらくてやりきれないところだが、私なりに現在働いている若い人たちにお節介ながら伝えておきたい。仕事でどうしても耐えられない時、このままでは持たないと思った時は、辞めてしまって構わない。それも、ギリギリまで頑張るのではなく、立ち直れる力を余した状態で、辞める意思決定をする方が望ましい、と。

 「逃げるが勝ち」とは、昔の人はよく言ったものである。二十代前半の若人にとって先の人生は長いのだから、ちょっと立ち止まってよく考え、逃げて人生の軌道修正を図るのは全く問題ないことだと思う。生きて元気でいるうちは、何とかなるというのが私の実感である。

(2016年10月13日記)

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