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2016年8月 1日 (月)

仕事の手順について

 職場で朝、「今日は○○の仕事です」と責任者に言われ、スタッフ全員が作業場へと移動した。準備が整うまでの間少しばかり時間があったところ、私の同僚となる女性三人が、今日これから行う業務の手順について話を始めた。

「AとB、どちらが先だったかしら?」

「確か、Aをやって、それからBのはずよ」

「そう、そう」

 ここで話は終了した。時間がなくなったからではなく、三人の認識が一致をみたからだが、私には不思議な終わり方に思えた。なぜなら、「なぜAが先でBが後になるのか」という元となる考え方について、誰も口にしなかったからである。

 このAとBの先後について、マニュアルには記載がない。かなり細かい点ゆえ、運用ベースで手順が決まってきたものなのだ。そして、仮にBが先でも、大きな不都合が生じるわけでもなかった。それでもAを先にすべしという運用に落ち着いたのは、その方がプラスが大きいと分かったためである。そのプラスは誰かが懇切丁寧に教えてくれるものではなく、問題意識を持った人が感じとれる類のものであった。

 知的頭脳労働に限らず、おしなべて仕事というものの手順には、何かしら背景や元となる考え方があるものである。それが何かを考えようとしないならば、“手順の丸暗記”というつまらないことをしなければいけなくなるし、いちいち面倒なことであろう。こうした仕事への向き合い方が、一部の非正規社員が軽んじられる一つの理由になっていなければいいが、とお節介ながら思う。

(2016年8月1日記)

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