« 妻でよかった | トップページ | 最近の身体の変化 »

2016年7月15日 (金)

病人への気遣い

 ある職場でのこと。そこそこ長い間、一緒に仕事をしている人たち(派遣社員)がいるのだが、ある日、その中の若い男性の目が真っ赤になっていた。それに気づいた同じ派遣の女性陣が、早速彼を案じ始めた。「大丈夫?」、「何か病気?」、「無理しない方がいいよ」、「仕事休んだら?」等々。

 私は彼と、仕事上のやりとり以上の会話をしたことがなかったこともあって、こういった声はかけず、そっとしておくだけだったが、すぐに病名が風の便りで伝わってきた。彼女たちが聞きだしたに違いない。同じ立場で同じ仕事をする仲間として、彼の真っ赤な目を気にかけるのは人として当然、あるいは望ましい行為と思う人はいるのだろう。しかし私は、そうした考え方には素直には同調できない人間である。

 
まず、彼が自分のことを根掘り葉掘り聞かれてもいいと考えている人間かどうかが分からない。彼は普段から口数が多いタイプではなかったから、人と話をするのが億劫という可能性すらある。そしてさらに、自分の病気のことを話すのは嫌じゃないか、と私には思えた。自分の病気に関する情報が、それを必要としない何人もの人に知れ渡るのは気持ちが悪い。

 
また、女性陣が“心配”という衣を纏って、彼のことを気にかけているさまが、私には薄っぺらに見えて仕方がなかった。これはパフォーマンスなんじゃないか、と思えたほどである。彼がつらそうに仕事をしているのが分かっていながら、「大変な仕事は私(たち)が替わるから」と言って、真に思いやりある行動をとった人は一人もいなかった。自分の仕事の負担を増やしてまで、彼をサポートしようとはしなかったのである。これでは口先だけの偽善ではないか。

 私は彼に対し、普段と変わらぬ接し方を続けた。自分が逆の立場だったらそれを望むからだが、そもそもこの男性は自分で判断できる立派な大人である。具合が悪いと思えば、職場のリーダーに「休みたい」と言うことくらい自分でできるはず。私は、大人として接する方がはるかに自然なことだと思う。

(2016年7月15日記)

« 妻でよかった | トップページ | 最近の身体の変化 »

人間関係」カテゴリの記事

価値観・性格」カテゴリの記事

健康」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573382/63957297

この記事へのトラックバック一覧です: 病人への気遣い:

« 妻でよかった | トップページ | 最近の身体の変化 »