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2016年6月 4日 (土)

十代に伝えたい職業選択の指針

 好きなことを仕事にできればいいのに、とは多くの人が思うことである。これに関連することとして、古くは、『人生の最大幸福は職業の道楽化にある』という林学博士・本多静六氏の一文が有名で、私には大いに頷けるところである。好きなことを仕事にする、また、仕事が楽しくて仕方がないというのは、幸せなことに違いない。が、ちょっと異なる逆説的な見方もある。それは、端的に言えば「好きなことを仕事にするな」という主張である。

 この点につき、『マツ☆キヨ 「ヘンな人」で生きる技術』(マツコ・デラックス×池田清彦著、新潮社)という本の中で、池田清彦さんとマツコ・デラックスさんが、意見の一致をみている。

《池田:趣味が仕事になっちゃうと大変なんだよな。(中略)好きなことを仕事にしちゃうと、仕事以外に好きなことがなくなっちゃうから、大変なんだ》

《マツコ:ほんとにそうよ。仕事が楽しいわけがないのよ。「仕事が楽しい」なんて言っている人はね、ちゃんと仕事をしていない! 仕事はね、疲れるものなのよ!》

《池田:まったく、その通りだな。虫捕りにしても、仕事にしてしまうと大変だろうなと思うもの》

(『マツ☆キヨ 「ヘンな人」で生きる技術』(2014年発行、マツコ・デラックス×池田清彦著、新潮社))

 ここからは、私が思うようになったことだが、結論を先に言えば、“好きなこと”と“得意なこと”を一つずつ持ち、“好きなこと”を一生の趣味に、“得意なこと”を職業にするのがよいと思う。例えば草野球のように、野球が好きだがプロレベルに達していなければ、趣味の範囲で続けるのが幸せだろう。語学が“得意”であれば、語学を使う職業に就くのが幸せに繋がる可能性が高い。ここでいう“得意”というのは、人よりも高いパフォーマンス(アウトプット)を容易に発揮できる、という意味である。

 自分の十代を振り返ると、好きなこと、得意なことの切り分けと認識が希薄だったばかりか、職業との繋がりを考える知恵も働いていなかった。こういうスタンスだと、仕事も人生も巡り合わせや運任せといった感じになるように今は思える。

 一般に日本人には馴染みのない視点だが、毎日「自分は楽しんでいるか?」「ハッピーか?」という自分への問いかけが欠け気味という印象を受ける。私など気付くのがちと遅すぎたが、若い人であれば、「毎日楽しいと感じられる人生にするにはどうしたらいいか」を念頭に置いて、早いうちから職業について考えてみてはどうだろうか。その際に参考になると私が思うのが、先に書いた「好きなことは一生の趣味に、得意なことは仕事に」である。

 ここで少し補足だが、“得意”なことをそのまま職業にする、と狭く捉える必要はない。手先が器用でものを作るのが得意なら、ハイテク分野から伝統工芸までものづくりの道もあれば、料理人という選択もありえる。絵を描くのが得意なら、画家のみならず、漫画家でもデザイナーでもよく、何か描くことに関連した世界であれば十分である。広い意味において“得意”なこととの繋がりを理解するだけで、職業の選択肢はかなり広がると思う。

 今の十代の若者はどのように職業を見ているのだろうか。『我が心の遍歴』などという古めかしく胡散臭い(?)ブログを読む人は少ないだろうなーと思いつつ、今日は思うところを書いてみた(参考になったと感じる人が一人でもいれば嬉しい)。本当のところは、昔の自分に耳打ちして教えてあげたい内容である。

(2016年6月4日記)

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