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2016年4月20日 (水)

喧嘩を売っている

 テレビのバラエティ番組でよくお見かけする生物学者・池田清彦さんは、見た目と話しぶりから明るく朗らかな印象で、好々爺と言ってもよさそうな方である。しかし、書き言葉となればまた別で、同一人物とは思えない、喧嘩を売っているような文章に先日遭遇して驚かされた。

 それは、著書『世間のカラクリ』(2014年発行、池田清彦著、新潮社)の中で、「がんとは闘うな(放置せよ)」と異端の主張をしている医師・近藤誠さんを擁護されているくだりにある。引き金は、「すい臓がん患者が語る、近藤理論への怒り」というあるがん患者(匿名)のブログであった(以下はそのブログからの抜粋)。

《「なんだか、池田清彦氏(早大教授)の文章を読んでいたらフツフツと怒りが湧き上がり書きました」》

《「近藤さん、池田さん。(がんと)闘っている彼らを、あざ笑い侮辱するような、アナタの意見を私は決して赦すことはできません」》

 これに対し、池田先生は本の中で反論を展開しているのだが、この患者に向けてところどころ過激な物言いをされているのである。分量の関係から、あえてそこだけ切り取ることにするが、何度読んでも凄い文章である。

《書いた本人は真剣にまじめに書いているのかもしれない。この世でいちばんタチが悪いのはまじめでバカな人だと常々思っている身としては、やれやれと思うほかはなかった》

《もちろんそれ(=がんを治療しないこと)が、あなたにとっての最適解かどうかは絶対にわからない。だから、あなたがどんな選択をするかは、あなたの自由なのだ。私や、近藤を罵倒するのももちろんあなたの自由だけれども、アホは死ななきゃ治らないと公言するのも私の自由である》

(以上、『世間のカラクリ』(2014年発行、池田清彦著、新潮社))

 まさに、喧嘩を売っている文章である。私にはここまでの強い心臓はないから、とても真似できない。私のブログもテーマによっては読む人を傷つけているだろう。でも、私が本音の部分で、「読むのも読まないのもあなたの自由、何を書こうと私の自由」と思っていることは、到底書けそうにない(と言いつつ、今書いちゃったけど)。そんなことを感じた、池田先生の驚愕の文章であった。

(2016年4月20日記)

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