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2016年4月27日 (水)

グローバル企業の雇用観

 長年穿いてきたジーパンがボロボロになったので、妻に引っ張られて近くのユニクロへ行った。普段着用だから上等なものでなくて全く構わない。ということで、1,980円のものを買った。タグを見るとバングラデシュ製である。こういう国で生産しないと、この低価格では利益は出ないのだろう。

 中国などよりもさらに賃金の低い国を選ぶことによって、ユニクロ(ファーストリテイリング)は価格競争力を維持しているわけだが、雇用という面で言えば、バングラデシュの雇用創出に貢献していると言える。ファーストリテイリングのように安価な労働力を求めながらグローバルビジネスを展開する企業は、どういう雇用観を持っているのだろうか、と考えてみた。

 トヨタ自動車や日本電産に代表されるように、日本国内の正社員の雇用は何としても守るというこだわりを持った日本企業もあるが、ファーストリテイリングあたりになると、国内の雇用に縛られた考え方はなく、世界全体で雇用を増やすことが企業としては十分な貢献だ、と見ているのかもしれない。もしそうならば、日本人社員を厚遇するという発想はもはやないのだろう。

 久しぶりのユニクロだったせいか、ファーストリテイリング率いる柳井正さんの言葉を思い出した。時期は2013年頃だったか、正確な表現は忘れたが「世界同一賃金を導入したい」という内容である。どこまで本気だったのか分からないが、この“世界同一賃金”には少々危ういものを感じる。

 私は以前、公的な短期の仕事に従事したことがあるのだが、その時の求人情報を見ると、東京都とその近隣県とでは時給が違っていた。仕事の内容はどこでも同じだったのだが、東京都の時給が最も高かったのだ。一般に、生活コスト、生活水準の高い地域では、賃金の水準も高くなるものである。こうした現実からすれば、“世界同一賃金”は絵に描いた餅であり、また、そうあるべきだろうと思う。

 働く者の賃金は、住んでいる場所において真っ当な生活ができる水準が維持されるべきであって、そうでなければ安心して仕事を続けることなどできない。“世界同一賃金”は社員の危機意識や競争意識を高めるには意味があったかもしれないが、賃金の制度設計は現実を踏まえた上で丁寧に木目細かく行なわれるべきものだと思う。

 なお本日の文章は、ファーストリテイリングの経営を批判云々したりする趣旨ではなく、頭の体操としてグローバル企業の雇用観を一考するためのものであったことを、最後に念のため補記しておきたい。

(2016年4月27日記)

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