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2015年12月31日 (木)

クリスマスのお話(その2)

 クリスマス当日、職場にトナカイが現れた。私たち派遣スタッフの仕事を統括している男性社員がトナカイの帽子を被り、業務時間中に登場したのだ。手には大きな袋を持っている。

 遠くからトナカイの姿が視界に入ったスタッフたちは、互いに顔を見合わせ目で笑い合った。そのうち、トナカイが直立歩行で近づいてきた。そして私の席の隣に差し掛かると、パソコンの画面を眺めていた私の顔をグッと覗き込んできた。「ちょっとはリアクションして!」という心の叫びが聞こえたが、もう通常業務モードに戻っていた私は、自然な笑いを返せなかった。気が利かず申し訳ないとは思ったが、根が真面目な私としては仕方がない。

 そして、スタッフ一人一人にクリスマスプレゼントが配られた。カラフルな手提げ袋に入ったお菓子セットである。これは会社が用意したもののようだった。暫くして夕刻、仕事が終わって退社しようとすると、今度は私たちの仕事を直接担当する女性社員から、「こちらもどうぞ」と別の袋を渡された。恐縮しつつ受け取って家で開けると、スーパー等では売られていないお洒落なお菓子とハンカチが入っていた。これは、女性社員が中心となってポケットマネーで購入したプレゼントと思われた。

 私は帰宅してからも、頂いたプレゼントのことを考えていた。勿論有り難いことで、普段無愛想に仕事をしている私も、心からお礼を言ったのだ。プレゼントの中身以上に、社員の方々がスタッフに配慮してくれていることが嬉しく感じられる。その一方で、ちょっと複雑な思いも抱いた。職場で隣の席にいた男性のスタッフが、カラフルな手提げ袋を見てこんなことを口にしていたのである。

「去年よりも袋が大きくなってますよ」

 昨年もこの職場に派遣され、プレゼントを受け取り、昨年と今年を比べる人がいたのだ。来年は、逆に袋が小さくなっているかもしれない。プレゼントを貰うことに慣れてしまうと、純粋な気持ちで感謝することが難しくなるのではないか。無意識のうちに、どこに基準を置いているかで感謝の深度は変わりうる、ということである。

 来年のクリスマス時期に、私が今の職場にいるかは分からない。その前に、そもそもこの会社からの求人がないかもしれないし、私が応募するかどうかも何とも言えない。そう考えると、社員の方には、「あんまり優しくしないで」と願わずにはいられない。こちらとしても、今回頂いたプレゼントは一過性のご褒美と受けとめ、少ししたら忘れてしまうくらいが丁度いいのかもしれない。

(2015年12月31日記)

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