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2015年12月28日 (月)

「全部見えているから」

 かなり昔のことだが、ある仕事の現場(オフィス)で目撃した出来事を書いておこう。暫く人の姿が見えない座席に、責任者の社員が難しい表情を浮かべてやってきた。「ここの人、どこに行ったの?」と周囲の人に聞きながら、イライラしていた。すると、席を離れていた若い男性が戻ってきた。責任者が怒りを帯びた口調で彼に向かってこう言った。

「休憩は10分でしょう!休み過ぎ!こちらからは全部見えているから!」

 この男性は派遣スタッフとして仕事に来ていた。そして10分休憩のところを15分以上も席を離れていたため、注意を受けることになったのだ。時給ベースの契約になっているため、正社員のような成果は求められない代わりに、定められた時間は仕事をする必要がある。責任者の言っていることは全く正しかった。男性は何も反論せず(できず)、再びサボることはなかった。

 大変印象的だったのは、責任者の「全部見えているから」という言葉である。私自身、この時はっきり自覚したのだが、パソコンや電話を使った業務をする場合、業務に関するデータが残るため一人一人の仕事ぶりが管理する側から見えているのである。彼のケースで言えば、離席時間が長いことが、データとして責任者からリアルタイムで見られていたわけであった。

 違う職場でのことだが、こんなことを目の当たりにしたこともある。普段、派遣スタッフと殆ど会話をすることのない管理職の方が、遠くの席の派遣スタッフに向かって「Sさん!」と呼びかけた。

 何か滅多にないことが起きているなと直感した私は、さりげなく様子を窺っていると、Sさんはその管理職にパソコンで入力したデータの誤りを指摘され注意を受けていた。どうも、合うべきはずの数字が合わなかったことから原因の究明が行われ、誰のミスかが発覚したようだった。

 この例にしても、入力したデータは管理する側から捕捉されているということだ。平時にはまず表面化しないが、自分の仕事ぶりは可視化されている、ということを強く認識した一件であった。時給仕事は責任らしき責任がない身軽なものだが、勤務態度やミスを注意されるのは気分が良くないし、仕事が嫌になってしまう。職場の人間関係もまずくなるだろう。私は日頃から細心の注意を払って仕事をしているつもりだが、これからも気をつけなければいけない、と思った。 

(2015年12月28日記)

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