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2015年12月10日 (木)

「NO」と言えない風邪のお話

 風邪の季節である。人づてに聞いた話だが、ある難関試験の受験会場で、試験監督員を替えてほしいとの要望が受験生から出されたという。その試験監督員はマスクをして咳き込むことがあったというから、受験生の気持ちはよく分かる。風邪をひいた監督員が近くにいるのは集中力の妨げになるし、何より自分がうつされては試験に万全の態勢で臨むことができない。当然というべきか、監督員はほどなく交替になったとのこと。

 これは、受験生という特別な立場ゆえ、風邪から身を守るべく「NO」と言えた事例である。が、実生活において、大抵は「NO」とは言えないものだ。こんなことがあった。ある日職場で、私はやったことのない業務を任された。その際、別の派遣スタッフとペアを組まされたのだが、その人がまた、マスクを着用していて、時折喉の奥から低音が響く咳をしていたのである。私は心の中で「NO」と叫んだが、言える立場にはない。その人も、休めない(休みたくない)事情があって、風邪なのに無理を押して出勤してきたのだろう。私がとやかく言うことなどできない。

 翌日。今度は、同じ職場で私に指示を出す複数の社員が咳き込んでいるのに気付いた。昔の自分を思い起こせば分かるが(?)、仕事熱心で責任感の強い社員は少々の風邪で会社を休んだりしないものである。その点は理解しつつ、私は咳を伴う指示を受けるという厳しい環境で、数日間仕事を続けることになった。

 そして「NO」と一言も言えなかった私は、予期した通りに風邪をひいた。妻に「職場がこんな状況だから、風邪をひきそうだよ」と予言して、その翌日に喉が痛くなった。「NO」と言えない立場というのは、かくの如く脆弱な身である。

 このように、風邪をひいたのは外部要因のためだと片付けていた私に対し、ある時妻がポツリと言った。

「家に帰ってきた時、うがいしてる?」

 していなかった。立場上「NO」と言えずとも、自分で打てる手はすべからく打っていなければいけない。そう反省させられた風邪の話であった。風邪のせいで、ブログの投稿も滞りがちになってしまった(まだ完治していません)。お節介ですが、皆さまもくれぐれもご用心を。

(2015年12月10日記)

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