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2015年12月 5日 (土)

羊羹とパンケーキ

今月2日、NHK放送の『歴史秘話ヒストリア』を見た。録画した番組を観ようと思い電源を入れたテレビでたまたま流れていたのが、これの『お菓子が戦地にやってきた~海軍のアイドル・給糧艦「間宮」~』という号である。なかなか興味深く、録画番組は後回しにして見続けた。

 取り上げられていたのは、「間宮」という、国内外の部隊に食品を届ける船である。太平洋戦争の末期には米潜水艦の魚雷を受けて沈没したが、船内には羊羹などのお菓子を作る職人と設備があり、戦争中「間宮」が近くに来ると、日本の将兵は大喜びしたという。食べ物にこと欠いた戦場では、お菓子にありつくことなど考えられない時代だったため、歓迎されたのである。

 今を生きる私たちにとっては、羊羹などさして有り難がられる食べ物ではないだろう。一年に一度も口にしない人も少なくない気がする。他に甘いデザートは山ほどあるのである。贅沢な食生活に慣れてしまった私たちと約七十年前の日本人とでは、大きな味覚のギャップがあると思われる。

 先日、妻と一緒に都内へプチ遠出をした。そして、以前行ってみたいと二人で言っていたレストランに入り、お目当てのパンケーキを注文した。大層美味しかった。二人でチョコパンケーキとメープルパンケーキをペロリと平らげてしまった。

 その場で、「間宮」の羊羹を思い出しつつ、私は思った。パンケーキをとりわけ美味しく感じられたのは、戦時中の羊羹がそうであったように、私が日常生活のなかでそういうものを殆ど食べていないことも大きいだろう。美食三昧の生活を送っていれば、美味な食べ物に慣れてしまって、あまり感動を覚えなかったような気がする。

 美味しいものを外で食べるというのは、たまにだからこそ満足度が高くなるのではないだろうか。以上の話からすれば、美味しいものばかりを日々食べるのが幸せだとは私にはちょっと思えない。食べることにまつわる幸福感は、慣れや頻度と大きく関係しており、ある程度自分でコントロールできるものかもしれない。

(2015年12月5日記)

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