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2015年11月13日 (金)

雇う側の論理と雇われる側の論理

 人から聞いた話と自分の体験談に基づく話である。ある派遣会社の担当者が、「○月△日の仕事を何人もの登録スタッフにドタキャンされた」と立腹していた。就業日近くになって、急にキャンセルの連絡が入ると、代わりの人の手当てが大変に違いない。その担当者の怒りや失望はもっともに思える。キャンセルを入れた登録スタッフは無責任で身勝手だと感じられる。

 ところが、この話の背景には少し考えさせられる複雑な要素があった。派遣会社が登録スタッフに「就業が確定した」とメールで知らせたその仕事は、“半日仕事”だったのである。予定を空けて応募していた登録スタッフは、てっきり“一日仕事”だと思っていた。“半日仕事”になる可能性は、予め説明を受けていなかった。“半日仕事”になれば、収入は自動的に半減する。これがキャンセルの理由になったと思われるのである(もっと稼げる他の仕事にシフトした人もいたと考えられる)。

 
雇う側の論理からすれば、「一旦就業が確定したのだから、キャンセルは許し難い行為」となるだろう。しかしこの場合、雇われる側の論理として「そもそも“一日仕事”だと思ってエントリーしていたのだから、キャンセルしても責められることではない」がありうる。労働法の専門家でもない私だが、常識的に考えれば、“半日仕事”になる可能性につき両者に共通の認識がなければ、就業確定メールが届いても、(労働)契約の締結には至っておらず、従ってキャンセルに非はない(キャンセルという概念自体もない)、ということになりそうな気がする。

 私が結構根深いと感じたのは、この派遣会社の担当者が、自らの求人のやり方に問題があったと自覚していないようだということである。明確な就業条件を明示せずに、自分に都合のいい働かせ方をしようとしたのに、そのまずさや登録スタッフへの配慮不足に気付いていないのだ。これでは、登録スタッフが定着するのはなかなか難しいだろう。

 スタッフ一人のキャンセルであれば、深くその意味を掘り下げる必要は必ずしもないが、相当数のキャンセルが出た場合は、雇う側にも改善すべき点があるとみていいのではないかと思う。ただ、これには雇う側に自省する態度が求められよう。なぜなら、離れていく登録スタッフが「半日仕事だと聞かされていなかったから」とキャンセル理由をわざわざ正直に教えてくれるとは限らないからである。

(2015年11月13日記)

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