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2015年11月28日 (土)

正社員はどこに?

 ある駅の構内を歩いていて、見慣れない求人広告が張り出されているのが目に留まった。正確な表現は忘れたが、『駅ホームでお客さまのご案内業務を行なうアルバイトを募集』という内容である。

 
私はこれを見て即座に、ここまで来たのかと思った。駅のホームで働いている人は、必ずしも鉄道会社の駅員ではなくなる、ということだ。利用客が「○○へはどう行ったらいいのか」「乗り換えの仕方を教えてほしい」といった質問をした相手は、これらに詳しい駅員ではなく、実はアルバイトだった、ということがありうる世の中になっている。

 社会を広く見渡せば、スーパーのレジの店員も、ショッピングモールの専門店の店員も、企業の不祥事の苦情受付窓口も、パートやアルバイト等の非正規社員ばかりである。私が働いたことのある職場でのこと。数人の大学生らしき若い女性が、リクルートスーツに身を包み、正社員に引率されて企業見学に来たことがある。彼女たちは会社の業務内容の説明を受けていたようだが、私は心の中で呟いていた。

「気づいていますか。あなた方の眼前で働いている人の大半は、非正規社員ですよ(私を含めて)」

 別の機会に、この職場で隣の席になった同僚の女性と雑談をしていた際、彼女がポツリと口にした言葉が印象的であった。

「(社会で)正社員の姿って殆ど見ないですよね。どこへ行ったのでしょう?」

 
そう、今や正社員は企画力が求められる時代となり、企業の経営戦略等を手がける本社に多く生息していて、顧客と向き合う現場やルーティーン業務を担う部署には少なくなっているのだ。そう考えると、私たちが普段姿を目にしないのも納得がいく。

 先の女子学生たちは、企業の業務内容ばかりに関心がいって、おそらく組織の人員構成まで考えは及ばなかったと私は想像する。理想を言えば、両方ともよく理解して、就活やその前哨戦に臨んだ方がよいだろうと思う(全くもってお節介だが)。

 最後に、冒頭の駅の話に戻ろう。駅でのアルバイトは利用客の整理・誘導に限定されないに違いない。乗り換え案内や落し物の問い合わせ、電車遅延へのクレーム、急病人発生への対応など、実に多岐に亘ると想定される。これらがアルバイトへ負荷としてのしかかってくるのではないか。

 そう考えると、そもそも鉄道や列車に全く興味がない私には、絶対に務まらない大変な仕事だと自信を持って言える。寒い冬での立ち仕事を辛いと思っているのではない。正社員が姿を消した後、以上概観したように、非正規社員の仕事の中に厄介なものが見事に残存していると思うからである。

(2015年11月28日記)

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