« 軽減税率の代案『還付金制度』には反対 | トップページ | 父逝く »

2015年9月15日 (火)

妻の口撃

 ある晴れた日のこと。電車に乗り込むと、車両の端の方の席が一つ空いていたので、腰を下ろすことにした(優先席ではなかった)。隣には若い女性がいて、スマホをいじっていた。彼女が面している反対側は車両の壁という位置関係である。

 電車が動き出して暫くすると、その女性がスクッと立ち上がり、車両の中央へと歩いていき、私とは斜めに向き合うような席に座り直した。起きたのはこれだけのことだが、私はとても気になった。

 私が隣にいて、何か不快な思いでもしたのだろうか。私は音が漏れるような音楽を聴いていなかったし、居眠りをしてもたれかかることもなかった。迷惑行為は一切なかったはずである。「体臭か?」とも思ったが、もう夏ではないし、服は着替えて外出しているから、それもない気がする。結局、彼女が席を替えた理由が分からず、私は変な気分を抱えて乗り続けることになった。

 その日の夕方、また小さな事件が起こった。ある駅の構内を歩いていると、若い女性(当然ながら別の人)に後ろから声をかけられた。「こんなところで知人に会うかなー」と思って振り向くと、見知らぬ人でこう告げられた。

「肩に虫がとまってますよ」

 とっさに首を回転させて右肩に目をやると、大きなアブかカナブンのような虫が服についているようだった。肩の回転角度には限度があるから、虫の姿をはっきりとは捉えられなかったが、何かいるのである。子どもの頃虫好きだった私も、さすがに気味悪く感じて、急いで虫を左手で払った。虫はどこかへ飛んでいったのか、結局正体は分からずじまいである。

 家に帰ると、早速二つの話を妻に報告した。“今日こんなことがあったよ”系の夫婦の会話ネタである。妻はひとしきり聞いた後で、面白おかしく二つの話を繋げて解釈した。

「あなた、オヤジ臭がしたんじゃないの?虫はこう思って肩に来たんじゃない?「おいお前!、臭うぞ」って」

 ひどい話である(笑)。こういう時の、妻の私のいじり方は容赦ない。私はここで、アイドルの言葉を借りて、「私の臭いは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでください」と返そうと思ったが、再度反撃が来るかもと思い、口には出さず不戦敗の道を選んだ。

 話はこの日で終わらなかった。妻のいじりには持続力がある。翌日、外出中の私の携帯に妻からメールが飛びこんできた。色々とその日の報告が書いてあったが、最後に次の一文が添えられていた。

「肩虫とおやじ臭に気をつけて」

「肩虫(かたむし)なんていう虫はおらんわ!」と心の中で叫んだが、メールだったこともあり、突っ込むのをグッと我慢した。そして私は再び不戦敗の道を選んだ。妻は私に起こった出来事でもって、私を“味わっている”かのようだ。それで二人が上手くいっているのだから、メデタシメデタシ?である(笑)。

(2015年9月15日記)

« 軽減税率の代案『還付金制度』には反対 | トップページ | 父逝く »

人間関係」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

生活全般」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573382/62283111

この記事へのトラックバック一覧です: 妻の口撃:

« 軽減税率の代案『還付金制度』には反対 | トップページ | 父逝く »