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2015年7月29日 (水)

向いていないこと

 ここ数ヵ月、テレビでお姿をよく見かけるようになった方がいる。元・柔道全日本監督の篠原信一さんである。俳優でもお笑い芸人でもないから、スポーツ番組でお声がかからないとそう露出が増えることはないと思われるのだが、最近はバラエティ番組で頻繁に起用されているという印象がある。キャラクターはいわゆる“天然”の部類に入ると思われるが、受け答えがとても面白い意外性が評価されているのだろう。

 そんな篠原さんが、よく番組で自虐的に口にされていたのが、「自分は監督には向いてなかった」である。男子柔道の監督を務めた2012年のロンドン五輪で金メダルゼロの結果に終わった過去を振り返り、冷静に自分の適性について語った内容で、非常に重みがある。

 私たちは社会に出てから(できれば出る前から)、自分に向いていないことは何か、早いうちに知っておいた方がいいだろう。努力を重ねて苦手や弱点を克服できることもままあるが、向いていないことで他人より高いパフォーマンスを発揮するのは難しいからである。

 こうした気づきについて語っているのは、篠原さんばかりではない。例えば、サッカー現役選手のキングカズさんやAKB48プロデューサーの秋元康さんは、本の中でこんなコメントを残しておられる。

《自分が監督に向いているとは思わない。例えばスタンドから試合を見ても、どの選手の運動量が落ちているだとか、チームのどこをいじれば良くなるかというのがイマイチわからない》

(『やめないよ』(2011年発行、三浦知良著、新潮社))

《秋元康:スタッフを50人も抱えた制作会社を経営していたこともあります。30代の後半、僕は自分に経営能力がないことに気づきました。いろいろ経験したからこそ、自分の向き不向きがわかったのです。そして40代からは自分の進むべき道がはっきりと見えました》

(『仕事力 金版』(2010年発行、朝日新聞社編、朝日新聞出版))

 このように、既に社会的に大きな成功を収めた方々ですら、向いていないことがあるのだから、「大抵の人は何かに向いていない」と言っていいに違いない。もちろん、向いていないことの裏返しで、向いていることを知ること、そしてそこに自分の資源を投入することが非常に大切である。

 
冒頭の篠原さんは、選手時代や監督時代は気づかれなかったが、人前で当意即妙の(?)面白い受け答えをする才があるのかもしれない。今のブレイクが一時のブームでなく、今後もテレビにコンスタントに出続ける展開になれば、受け答えの才能は本物だった、という証左になるような気がする。

(2015年7月29日記)

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