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2015年7月30日 (木)

会議出席者の心得(例外編)

 私には変な嗜好というか、極端な例や例外的な事象に強い関心を寄せる傾向がある。一昨日の『会議出席者の心得』は、説得力があるとお感じになった方が多いだろうと勝手に推察しているのだが、会議での発言に極めて消極的な著名人・知識人も実はいたりする。エピソードとともに、ご当人に早速ご登場いただこう。

《じつは私は、ものごとの理解が遅いんです。こんな本を書いたりしているから、早いと思う人もいるでしょうが、いまでも他人のいったことを、一年間考えたりするんです。だから、ただいま現在のことを、あれこれ議論するような会議は、徹底的に苦手です。その場の議論についていけないんです。だから会議では意見をいわなくなる。教授会で意見をいったのは、十三年のなかで一回だけですからね》

(『運のつき』(2004年発行、養老孟司著、マガジンハウス))

 養老孟司さんは例外中の例外かもしれないが、十三年で一回しか発言しないというのは、かえって不思議な凄みを感じる。こうしたタイプは欧米の組織ではすぐに落第点をつけられそうだが、日本の組織にはまだ寛容なところが残っているのかもしれない。

 同じ本のなかで、養老さんはこうも仰っている。

《でも人生は長いんです。六十五歳で、突然本が売れたりするんですからね。世間でいう「運、根、鈍」の「鈍」です。私が鈍だというと、笑う人もいるでしょうが、鈍なんですよ、私は》

(前掲書)

 そう、これで思い出された方は、ご名答です。《六十五歳で突然売れた本》とは、300万部売れたと言われるベストセラー『バカの壁』(2003年発行、新潮社)のことです。こうした形で広く世に出て行く人がいることを思えば、会議で発言しない人が全くダメというわけではない、というのもまた事実でしょう。人生、初めから“例外狙い”で上手くいくかどうかは分からないが、現実に“例外の好例”があるということは知っておいてもいい、と風変わりな私は思うのである。

(2015年7月30日記)

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