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2015年7月 1日 (水)

悩ましい教育投資のコスパ

 私の方から何も質問しないのに、派遣で働くある女性が私にこんな話をポロッと披露してくれた。「子どもを大学にやるのに1,200万円かかるのよ。だから働かなきゃ。」

 話しぶりに悲壮感は漂っていなかったから、私は気を使わずに聞けたのだが、これからやってくる大変さが伝わってきた。彼女は時間を見つけて働き続ける覚悟を決めているようであった。それにしても1,200万円は高額である。

 先日、録画していた経済番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京、5月14日放映)で、「東京すしアカデミー」という、素人が最短2カ月ですしを握れるようにする学校の取り組みを観た。この学校はすしに特化した日本初の専門学校と紹介されていたが、最短の2カ月コースの場合、授業料は約86万円という。今、海外では日本人のすし職人が引く手あまただそうで、この2カ月コースの“修行”を終えて海外に職を得る人もいるそうである。私は考えさせられた。

 親が1,200万円を投じて大学を卒業しても、希望する就職をできるかどうか分からない若者がいる一方で、86万円の投資により、請われるようにやりたい仕事に就く人もいる、ということである。何と大きなギャップであろうか。

 もちろん、86万円払えばどんな人でもすし職人になれるわけではなく、実際には料理人として一人前になるんだという熱い気持ちや志がないと、満足に技術は身に付かないだろうから、単純な比較が乱暴であることは分かっているつもりである。しかし今の世にも、“手に職を”的な昔の考え方に立って生きる糧を得る道があることは、知っておいて損はないに違いない。

 今風の言い方をすれば、先の1,200万円はコスパが悪いかもしれない、ということである。その大金が活きるかどうかは、本人次第であり、環境次第でもあり、これからの経済環境次第のところもあって、高い確度で見通すことなどできないであろう。だから親御さんは、後になって「あれだけお金をかけたのに、当てがはずれた」などと思ってはいけないと思う。大きな教育投資をすれば相応に実を結ぶという保証は全くない時代になっているというシビアな時代認識が、先行して必要だと思われる。

(2015年7月1日記)

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