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2015年7月28日 (火)

会議出席者の心得

 私には、地方の行政機関の公募により選出され、携わっていた仕事がある。定期的に会議が開かれることになっており、一度も欠席しなかったのたが(←ちょっぴり自慢)、毎回非常に拘っていたことがあった。それは、会議では必ず一回は発言すること、である。

 この会議では、主催者によりICレコーダーが置かれ、出席者の発言がそのまま議事録となったため、発言しなければ会議に積極的に参加したことの痕跡が議事録上残らない、という事情もあった。しかし、それ以前に私には、「会議に出たら発言しなければいけない」という認識を持っていた。この“行動規範”は、サラリーマン時代から上司や先輩に何度となく言われてきたことだと記憶している。ところが、その大元の“原典”がどうもはっきりしない。もやもやした感じをずっと抱いてきた。

 それが、先日読んだ本の中で非常に明瞭に説明されていて納得がいった。著者は、外資系企業の社長職を幾つも経験された新将命さんである。少し長くなるが引用したい。

《私は三二歳のとき、一0年間務めたシェル石油を退職して日本コカ・コーラに転職した。その初日のことである。イギリス人の上司にいわれたことを、いまでも昨日のことのように覚えている。

「アタラシくん、入社おめでとう。きみはこれから、この会社のいろいろなミーティングに出るだろう。そのときは、必ず二回は手を挙げて発言(Speak Out)すること。理由は二つある。ひとつは、きみが会議中に一言も言葉を発しないと、私を含めて出席者たちは『こいつは手を挙げて発言する勇気がないんだな』と受けとめるだろう。悪くすれば『あいつはものを考える能力がないに違いない』と思われてしまう。我が社には、勇気も能力もない人間はいらない。

 それともうひとつ。会議できみが発言しないということは、きみはその会議の品質を高めることに積極的な貢献をしていないということだ。人の話を盗み聞きしているだけで、自分からは何も与えていない。我が社では、泥棒人間もお断りだ」》

(『経営の処方箋』(2014年発行、新将命著、ダイヤモンド社))

 新将命さんのエピソードだけが日本の企業社会で流布したのではないだろうが、書籍だけに依らず今までに何度も披露されているのであれば、一つのソースとなり、伝言ゲームのように広まっていったのかもしれない。社内会議の活性化を課題とする日本企業は多いだろうから、今も十分に効き目のある内容である。

 
ただ、発言回数は気になるところ。私自身を振り返ると、二回以上発言したこともあれば、一回にとどまったこともあったように思う。一度発言してそれに満足してしまい、“傍聴側”に回ってしまったこともあった。会議に出なければいけない仕事をしていない今となっては、少し苦い思い出である。

(2015年7月28日記)

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