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2015年6月 5日 (金)

この夏の課題

 先日妻が、「ねえねえ、お願いがあるんだけど……」と少し甘えた口調で話しかけてきた。こういう切り出し方をされた時、内容を聞く前から私の答えは決まっている。了解するのである。妻もそれを織り込んだ上で話しかけてきている。なかなかの作戦家である。

 お願いの中身は、「親しい友達が一緒にコンサートに行けなくなったから、代わりに付き合ってほしい」というものだった。妻には大好きなバンドがいて、毎年のように夏にはその友達を誘ってコンサートに行っていたのだが、今年はお断りのメールが届いたらしい。理由は、「暑くて体力的にしんどいから」。確かに、夏の屋外コンサートは観る方も大変である。その友達が、妻ほどそのバンドの熱心なファンでなければ、躊躇う気持ちが強まるのは無理からぬことであろう。

 私は、コンサートに行けない(行かない)理由を正直に妻に伝えてきた友達の勇気を素晴らしいと思った。妻に配慮して偽りの理由を連ねれば、一時しのぎはできても、年々断りづらくなることは目に見えている。考えた末の決断だろうと想像した。

 人口に膾炙した岸信介元首相の晩年の言葉に、「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」というものがある。私は、“義理を欠く”のは歳をとってからでなくてもいいと最近思い始めた。体力的、精神的にきついと感じ始めれば、年齢に関係なく断ってもいいと思う。後は、禍根を残さぬよう、誠意を持って気持ちを伝えられるかどうかである。

 私はまた、妻はいい友達を持ったなあとも思った。正直な気持ちを妻が受け入れてくれると友達は判断したわけで、二人の間にしっかりした良好な関係があってのことだと感じられたのである。友達の返事に妻は当初残念そうだったが、引きずった様子は全くなかった。

 ここまで来て、残された課題が一つだけある。妻に「コンサート行くよ」と応えた私自身が、コンサートを体力的に乗り切れるか、また心の底から楽しめるかである。夏までの間に、そのバンドのヒット曲を聴きながら、身体を鍛えようかどうしようかと現在思案している。

(2015年6月5日記)

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