« 会社での流儀と家庭での流儀 | トップページ | 母との食事 »

2015年5月 5日 (火)

非常識な人のいなし方

 非常識な人はいるものである。林真理子さんの90年代のエッセイを読んでいると、非常識な人が主役の、林さんを立腹させた“事件”が載っていた。事件の概要は以下の通りである。

《何気なく(ファクシミリの)受信トレイを覗いた私は、あまりのことに頭にカァーッと血がのぼってしまった。

 それは某大手広告代理店の横浜支社からのもので、

「あなたは○○製パン主催のトークショー出演者の候補になっています」

 とある。

「ついてはプロフィール・写真を至急送ってください」

 私は別に候補にしてくれと頼んだ憶えもない。言っちゃナンであるが、さまざまな講演やイベントの依頼は私のところに毎日いくつもある。わざわざ自分のプロフィールを送ってお願いする必要はないのだ。

 それにファクシミリを送ってきた先は、世界に誇る大パブリシティ会社だ。パソコンのキイをひとつ叩けば、たちどころにハヤシマリコの資料ぐらい出てくるだろう。それもしないで、勝手に候補にしておいて、資料を送ってこいとは何なんだ》

(『「中年」突入!ときめき90s』(2014年発行、林真理子著、文藝春秋))

 このくだりをフムフムと頷きながら読み進めていると、ある記憶が私の中に蘇った。金融機関に勤めていた時のこと。大勢の部下を持つ同じ職場の管理職が、パソコンの画面を見て「こんなメールを受け取っちゃったよ」と笑いながらぼやいていた。姿が見えない離れた場所にいる派遣スタッフからその人宛てに、メールが送られてきたという。それは報告物の提出を依頼する内容だったのだが、メールの件名の先頭に【要返信】と書かれてあったのである。派遣スタッフが正社員の管理職に向かって、いきなり【要返信】はさすがにまずい。悪気はなかったと思われるが、これも非常識の範疇に入るだろう。


 
林真理子さんの場合は、仲のいい友人が《「ああ、世の中には非常識な人がいるんだなァ、ってひとりで思えばいいじゃない。どうしていちいち訂正したり、抗議しなくちゃいけないの。そういう無駄なエネルギーを使うことはないのよ」》と意見してくれたようだ。が、先の管理職は、人からの意見を必要とせず、自分の中で“メール事件”を見事に消化、怒りを封じ込めてしまった。具体的にどうしたか。飲み会の場で、「こんなことがあってねー」と笑い話として披露し、酒の肴にしたのである。私もこの話を何回か聞いた覚えがある。だから、今でも頭の引き出しの奥に入っていて、今回ふとしたきっかけで思い出したのであった。

 今日は最後に、まとめとして金言を残しておこう。

「非常識な目に遭った体験は、よい聞き役を見つけて話し、笑い飛ばすべし」

(2015年5月5日記)

« 会社での流儀と家庭での流儀 | トップページ | 母との食事 »

人間関係」カテゴリの記事

社会全般」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/573382/61539908

この記事へのトラックバック一覧です: 非常識な人のいなし方:

« 会社での流儀と家庭での流儀 | トップページ | 母との食事 »