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2015年4月 4日 (土)

格差はますます拡大する

 少し前のことになるが、今年のベア(ベースアップ)は久々に明るいニュースであった。大手自動車メーカー、電機メーカーでは月3~4千円程のアップで決着したのである。横並び意識の強い日本では、こうした経営側の回答結果は、程度の差はあれ様々な業種・企業に波及するだろうと思う。

 一方で皮肉にも、このニュースを聞いて私の頭に直感的に浮かんだのは、景気拡大でも株価上昇でもなく、次のことであった。「これでますます格差は拡大する。」

 仮に月3千円のアップとして、年間に3万6千円ほど収入が増えることになる。これは一時的なものではなく翌年以降も効いてくるから、インパクトは大きい。基本給が増えれば賞与にもはねるから、当該業界・企業に勤める正社員にはとてもプラスが大きいと言える。

 しかし、同じ業界においても、非正規雇用の枠組みで働く人たちは、こうした恩恵には与れない。残業代が増えたり時給がアップしても、これらは業務の繁忙や労働力の需給を主因にして増えるのであって、ベアのように、企業が働いている人たちの努力に報いる性格のものではないのである。

 もちろん、ベアは経済全体から見れば、間違いなくよいことである。働く者の収入が増えれば、消費も税収も増加し、財政赤字の縮小に繋がる。景気回復は日本の財政再建に不可欠であろう。

 がしかし、である。この望ましいシナリオの下でも、格差はますます拡大する。時給をベースに収入を得ている人たちは、取り残されるのである。政権を担う自民党の『2014政策パンフレット』には、表紙に《景気回復、この道しかない。》の一文があるが、“格差”の二文字はパンフレットのどこにも見当たらない。恐らく大きな問題とは捉えられていないのだろう。

 向こう十年、二十年……といった単位で日本の将来を見通せば、格差は今後ますます拡大するに違いないと思う。世界の水準で見れば、日本では貧乏であっても貧困には該当しない人が殆どだが、同じ国にいながら豊かな人達と貧しい人達の生活レベルの差は開く一方、というのがこれからの日本の姿だと私は想像している。とても耳触りが悪いことなので、政治家も企業経営者も表立ってこの未来予測を口にしないが、きっとそういうことになると思う。

(2015年4月4日記)

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