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2015年3月15日 (日)

言葉の無駄遣い

 将棋棋士の渡辺明二冠は、将棋界に詳しい人の間では、合理的な考え方の持ち主で知られている方である。先日引用した著書『渡辺明の思考 盤上盤外問答』(2014年発行、渡辺明著、河出書房新社)の中に、そうした考え方が顕著に表れた“名言”があったので紹介しておきたいと思う。

《いい加減に仕事をしている人に、本当のことを腹を割って話しても無駄だって思っちゃいます。自分の言葉の無駄遣いだなって》

 
“言葉の無駄遣い”というのが私にはとても印象的で心に残った。“無駄遣い”の対象は大抵の場合、“お金”や“時間”であるから、“言葉”というのはちょっと意表を突いた感じに思えたのである。

 渡辺二冠の言わんとするところはよく分かる。トッププロの渡辺さんにインタビューする人は将棋のことを質問するわけであるから、かなり勉強をして将棋の知識を持ち合わせていることが大前提となる。その部分の手を抜いてテキトーに聞けば、渡辺さんもそのレベルに合わせてテキトーに答えるのが自然、ということだろう。

 よくよく考えると、“言葉の無駄遣い”は“思考の無駄遣い”や“気持ちの無駄遣い”にも繋がっていると思う。相手のレベルに合わせることなく、必要以上に思考したり、気持ちを使ったりすることが、言葉を無駄遣いする結果を招くからである。自分が接するあらゆる人に対し、あらゆる場面で最大限の言葉を使って返すのは、自分を消耗させることになる。それが習慣になると、自分の人生を損ねることになりかねないと思う。

(2015年3月15日記)

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