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2015年2月22日 (日)

際どい世間話

 もう二十年位前のことだったと記憶している。当時私が勤めていた会社で小さな“事件”が発生し、人事部から注意喚起を受けたことがあった。その“事件”の概要であるが、スーツに社員バッジをつけていた者が、電車の中で美人・不美人についての会話を同僚としていて、「○○県、△△県、□□県は美人(不美人)の三大産地だ」と言ったのを、車中にいた会社の取引先の人が偶然耳にし、憤慨して会社に電話をかけてきた、というものである。

 その者は、真面目に社員バッジをつけていたことで勤務先を知られてしまった。この手の“失言”は、今であればすぐにネットに書き込まれて拡散するような類のものだろう。当時はそういう便利な手段がなかったため、直接的に会社に電話をかけて抗議するというやり方が取られたわけである。

 ここで美人・不美人について、少々書いてみたい。ミス・ユニバースのようなイベントを何とも思わない人もいれば、そういう女性の扱い方を不愉快に感じる人もいる。受け止め方は人それぞれである。当の女性が美人・不美人という線引きに異議を唱えるかといえば、そうとも言い切れない。例えば、内館牧子さんは著書で、《秋田にはなぜ美人が多いか》というエッセイを載せているくらいである。

《わが生まれ故郷秋田は、誰もが認める美人県である。

 中には、

「そんなのイメージだけだよ。今時の日本の女なんてみんな同じ化粧して、目ばっかりパチクリと作ってさ、美人もブスもねーよ。秋田だろうがどこだろうが、いまや美人県なんてものもねーの」

 と言う人があろう。現実に私の周囲にもいる。が、私は仕事の関係もあって、今でもよく秋田に行くので実感しているのだが、秋田の女はきれいである。特に女子中学生や女子高生に、ハッとするほどきれいな子を見かけることが多い。(後略)》

(『毒唇主義』(2014年発行、内館牧子著、潮出版社))

 《秋田にはなぜ美人が多いか》というこの美人談義は、実に7ページに亘って展開されるのである。少なくとも内館さんにとっては違和感のない話題と言え、それをどうとるかは読者に委ねられている。私自身は、冒頭に書いた二十年程前の出来事から、この手の話は軽々しくできないなと思うようになった。本音では、他愛もない世間話だと思っているのだが、聞く人によっては「とんでもない!」となりかねない。私は元来口数が多い方ではないので、人よりは地雷を踏むリスクは小さいと思うが、話す相手、さらには周囲にいる人たちに目を配りながら、慎重に世間話をするように心掛けている。

(2015年2月22日記)

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