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2015年1月26日 (月)

オンラインの接続拒否

 昨日、face to faceの会話というオフラインでの情報交換について書いたが、これに関連して後味の悪い経験をしたこともある。ある職場で男性と一緒に仕事をした時のこと。その方は見た目が私より年上で、しかもマスクを着用していて表情がよく分からなかったので、初めのうちは殆ど会話をしなかったのだが、仕事の途中でマスクをはずしてから、少しずつ打ち解けて話すようになった。もちろん内容は、その日の仕事についてであった。

 それが休憩時間に入り、なんとはなしにお互いに他にどんな仕事をしているかに触れるようになった。そういう展開になったのは、私がその人の他の仕事に興味を持ち、じっくりと耳を傾けていたからだと思う。興味を持って聞いてもらえると、気持ち良くなってさらに話すようになる人は多い。

 ところがその後、意外な展開になった。私が予想だにしないことをその人は口にしたからである。そろそろ帰る時間という頃になって、次のように言われたのだった。

「もしよければ、メールアドレスを交換させてもらえませんか」

 これには驚いた。私がそもそも僅かしか持ち合わせていないサービス精神を発揮してお伝えした話に、その方はかなり興味を持ったらしい。私はこの“提案”を受けるまで、そういう受け止め方をされていることに気づかなかった。振り返ると、やや軽率でしかも鈍感だったのかもしれない。

 結論を急ぐことにしよう。私は条件反射的に、「すみません、そういうことはやらないことにしているもので……」と、柔らかい口調できっぱりと断ってしまった。一旦受けておいて、あとから「実は……」とお断りするのは、かえって失礼になると思ったからである。瞬間的な“接続拒否”であった。

 私の“接続拒否”には、一応理由がある。その方とは、その日限りで遭遇した関係であって、仕事が終わればそれで終わり、という前提で私は捉えていた。そういうオフラインでの関係であるのに、もしメールアドレスを交換すると、仕事が終わった後も、様々なメールが送られてくるかもしれないオンラインの関係性に転換してしまう。それは私が望むところではなかったのである。もちろん、一日話しただけでは、人となりや性格が掴めない(本当はどんな人か分からない)という要因も大きい。

 冒頭に書いたように、この“接続拒否”の後味の悪さは今も少々残っている。が、私は断った後、その場で懸命にリカバリーショットを打つようにした。つまり、オンラインでの間柄は御免こうむりたいが、今話せること、情報提供できることは、時間の許す限りお伝えしようと思い、それを実行したのである。オフラインではベストを尽くしたせいか、幸い別れるまで、拒絶されたその方が私に対して嫌な態度を見せるようなことはなかった。
 

 今振り返っても、あの“接続拒否”を後悔はしていない。私としてはオフラインの場を、GIVETAKEの精神で大切に活用していきたいと思うが、その日のその場に限った関係性にとどめるという原則を崩したくないのである。オンラインに踏み込んでどんどん人との繋がりを増やしていくと、相手に気を使う上に自分の自由になる時間も減りかねない。人生の半ばを過ぎれば、思い切って拒否することも時に大切ではないかと思う。

(2015年1月26日記)

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