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2015年1月14日 (水)

ストーリーで商品を買う

 ブルーレイに録画して残しておいた経済番組を妻と一緒に観た。昨年11月6日放映の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)がそれである。妻も私も食べることへの関心が高く、この日の『大手に出来ないことをやれ!格安スイーツで年商500億円!反骨のシャトレーゼ80歳の執念』で取り上げられた洋菓子チェーン・シャトレーゼには昔二人で何度も行ったことがあるので、何か耳寄りな情報でもないかと思って番組を再生した。

 シャトレーゼのケーキが他のお店よりも安いことは知っていたが、そのための工夫はこの番組で初めて知った。自社生産だが人手を要する工程などを極力機械化して、低コストを実現しているとのことであった。店舗は自前かつロードサイドでの出店なので、都心のデパート等ならかかる固定費は省くことができる。また、一般にケーキは手作りが美味しさの秘訣と強調されがちだが、シャトレーゼは地元山梨などで採れた新鮮な素材にこだわることで、消費者に評価される美味しさを実現していた。

 これらの点につき、私はどうも誤解していたようである。安い価格の裏には、外国産の安価な材料に頼るなどのからくりがあるものと思っていた。が、そうではなかった。ケーキの原価率が70%台にも及びながら他店より価格が安いというのが、番組で明らかにされたように地道な企業努力の成果であれば、美味しさと安さの両立にも納得がいくというものである。

 シャトレーゼを引っ張ってこられた今年80歳の齊藤寛社長にも大変好感を抱いた。自社に関する著書がないばかりか、この番組の収録現場にケーキを並べるのを「宣伝っぽくなるから」とやめるよう指示されたらしい。実直だが穏やかで控えめ、高潔なお人柄がテレビ画面を通して伝わってきたのである。

 実はわが家から1キロほどの距離にシャトレーゼの店舗はあるのだが、先の誤解もあって長らく疎遠になっていた。が、『カンブリア宮殿』を観てシャトレーゼに親しみを覚え、齊藤寛社長に共感して、翌日早速ケーキを買いに行った。私はチョコレートに目がないので、まずショコラ系を買うことが多いのだが、この日はフルーツが入った種類を2つ選んだ。僅かな金額だが、私の支払った代金の一部がシャトレーゼを経て、果物の生産者の手元に渡ることを嬉しく感じられると思ったからである。

 現代は企業の経営戦略論等において、「物語(ストーリー)を売る」ことの大切さが指摘されることが多いが、私の“シャトレーゼ通い再開”は、これを地で行くものとなった。齊藤寛社長とシャトレーゼのこれまでの歩みが、心を打つストーリーとなって私のスイーツ購買行動を変えたのである。

(2015年1月14日記)

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