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2014年11月22日 (土)

旧交を温めにくい今時の事情

 勤め先を退職して2年半と少しになる。たまに、元同僚、元同期といった親しくさせて頂いた方々と飲む機会があるのだが、悩ましいなぁと感じることが増えた。

 会えば必然的にお互いの近況を話すことになるわけだが、何をどこまで聞くか、何をどこまで話すか躊躇してしまうのである。立ちはだかるのは“コンプライアンス”という大きな壁である。

 まず、飲む相手の方は、勤め先の「顧客情報」は一切私に話せない。次いで、「社内事情」は大丈夫に見えるのだが、これも厳密には微妙そうである。個人情報、インサイダー情報等に掛かりそうなものが含まれている可能性があるからだ。

 一方、私はというと、負けず劣らず歯切れが悪くなる。本の執筆といった自分オリジナルの仕事については自由にしゃべることができるが、他の仕事ではグンとハードルが高くなる。時間と気持ちにゆとりがある時に、企業や官公庁が大元となっている短期の仕事をやることもあるが、“守秘義務遵守”が就業の条件になっているためである。ブログでこうした仕事について書けないのも、この要因に依る。

 このようなわけで、旧交を温める前職絡みの飲み会は、最新の仕事話を交換するには限界があり、昔話に花を咲かせるのが無難ということになる。そして会話が昔話に偏った場合、再会した方々と私を“今現在”繋ぐものは一体何なのか? という疑問が頭をもたげてくる。退職すれば、元勤務先の方との人間関係が細くなるのはやむを得ない流れだが、この5年、10年猛威を奮ってきたコンプライアンスが、今残っている人間関係にも微妙に影を落としていると感じる。

 少し脱線して示唆めいたことを書き添えるならば、仕事べったりの人生の危うさはこのあたりにもあるのではないか。仕事から離れると、仕事をベースとした人間関係は当たり前のものではなくなる。疎遠になる人が出てきて初めて事態の深刻さに気付くとすれば、少々遅い気がするのである。

 これと対極にあるのが、趣味をベースとした人間関係だと思う。卑近な例(?)であるが、AKB48のファンであれば、ファン同士で交流し、制約なく大いに盛り上がることができるだろう。だから、たかが趣味などと趣味を軽んじるのは、長い目で見ればあまり上手い生き方ではないように思える。

 その点、私はラッキーと言えるかもしれない。将棋好きの私には、半径10数メートル以内の距離に、同じく将棋ファンの妻がいる。妻は私の影響を受けた結果、共通の趣味・話題が実現したのである。しかも、応援している棋士がともに羽生善治名人なので、羽生さんの勝ち負けによる一喜一憂も妻と共有できる。

 話が徐々にそれてしまったが、今日書きたかったことは、コンプライアンスのせいで、飲み会での話題が制約され、世知辛い世の中になってきたことの憂いである。

 つい先日、元同僚との飲み会があったのだが、上述のコンプライアンスに縛られつつも楽しい会であった。“今現在”お互いを繋ぐものとして、相手の方々の人間性に惹かれているとか、仕事以外の話題でも気楽に話を続けられるといった、コンプライアンスとは無縁の“今現在”を繋ぐものがあることが大きいと思う。こういう飲み会は、今の私には貴重なものとなっている。

(11月22日記)

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