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2014年10月14日 (火)

『私はかわいいから卒業する』

 少し前のことになるが、日本語の難しさを考えさせられた文章に出会った。今日のタイトル、『私はかわいいから卒業する』がそれである。ユニリーバ・ジャパンのシャンプーのCMで女優の宮崎あおいさんが語りかけてくる、シンプルに見えるが印象的な文章である。

 日本語がかなり堪能な外国人でも、この文章を正確に理解するのは難しいのではないかと思う。というのも、《かわいいから》の《から》が、“because”の意味と“from”の意味のどちらにも聞こえるためである(イントネーションでは判別できず)。日本語の文法をしっかり学んだ外国人であれば、《かわいい》という形容詞に続く《から》なので、「“because”の意味が(文法的に)正しい」と言うかもしれない。しかし、“because”だとすると、何から卒業するのかが曖昧で、おかしい感じを受ける。このCMの言わんとするところを推量すれば、「“from”が正しそうだ」と理解できるのである。

 こんなことをつらつらと考え、妻に「宮崎あおいさんのCMの意味、こういうことだと思うんだけど……」と話題にしたところ、意外な反応が返ってきた。妻の個人的見解だが、このCMには2つのメッセージが掛けて込められているという。一つ目は、“かわいらしさを脱皮して大人になる”というメッセージで、もう一つは“私はかわいいのだ”というメッセージである。妻は、“私はやっぱりかわいいのよ”という秘めた主張を、この後者のメッセージから強く受けたという。

 あいにく私は、後者のメッセージを掴み取ることができなかった。それで、少々恥じるような気持ちにもなった。女性の感性恐るべしというべきか、妻恐るべしというべきか……。それにしても、私は普段CMのコピーに心を動かされることは滅多にないのだが、今回は日本語の奥深さが感じられて、思いがけずじっくり味わうことができた。ユニリーバのシャンプーは使っていないけれど、CMには感謝!

(10月14日記)

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