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2014年10月23日 (木)

見た目を侮ることなかれ

 昨日のことである。妻が外出している時に、インターホンが鳴った。聞き取りにくい声で男性が「予定の日よりも早く工事に来た。かまわなければ工事をさせてほしい」と言う。住んでいる集合住宅で塗装工事の予定が組まれているのは、私も知っていた。各戸に届いていたお知らせによると工事予定日は24日だったので、二日早いことになる。

 玄関を開けてぎょっとした。目の前に現れた男性は、工事をする格好ではあったが、見た目がみすぼらしく、前歯が大きく欠けており、まるで不審者のようであった。手にお知らせの紙を持ってはいたが、部屋番号が紙の裏に殴り書きしてあるなど、いい加減さも感じられた。ほんの数秒のうちに、私の頭の中で“アラーム”が鳴り始める。(この人はニセの工事業者ではないか??) 何とか家に入りたい様子の男性に、私はぶっきらぼうにこう言ってドアを閉めた。「今日は予定していた日ではないので結構です」

 そもそも予定日よりも早く来るならば、事前に一報あってしかるべきであろう。お知らせには《工事の際は、必ず在宅されるように》とあったので、住人はその日は家を空けないように心づもりしているはずである。なのに、お知らせを勝手な都合で反故にして別の日に各戸を巡回するというのは、私の作法にはない。そこに私が反発したところは大きい。が、私が昨日ドアを閉めた最大の理由は、何よりもその人の風貌にあった。お客の元に仕事で出向くような姿には到底見えなかったのである。

 そういえば以前こんなこともあった。人材派遣会社の面接兼登録会に行った時のこと。20数名の参加者が会場に集まっていた。参加者は面接担当者に履歴書を渡し、一人3分ほどの面接を受けた。続く15分間程の審査の後、面接に合格しなかった人は面接担当者から名前を呼ばれず、そのまま会場を後にしなければいけないという流れになっていたのだが、結果として3人が出て行った。そのうち2人の顔がちらっと見えたのだが、どちらも風采のあがらない人という印象を受けた。おそらく見た目でマイナス評価されたのだろうと想像した。

 一方でこうも思った。履歴書に記載された情報とたかだか3分の面接で、仕事を任せることができる人物かどうかなど正しく判断できるのだろうか。何十年も生きてきた人間が、そんなに薄っぺらいものだろうか。しかし、その3人を残さなかった派遣会社の判断が間違っているとも言えない。過去からの経験と人材選定ノウハウの蓄積もあるだろう。その日、面接会場で私の頭にくっきりと残ったことは、「人は見た目で判断されることがある。しかも、結構重要な場面で!」という、世の中の厳然とした事実である。

 最初の話に戻るが、わが家のインターホンを鳴らした男性が、ニセの工事業者だったのか、それとも本物なのかは二日後に判明するはずである。本物だった場合、私は相当に気まずい思いをする予感がする。そして次に、「もう少し見た目に気を配った方がいいですよ(きちんとした身なりなら断らなかったのに)」とひと言言いたくなりそうな気がする。あいにく二日後は、妻にまたも外出の予定があるのである。前から工事の立ち合いは私がすることに決まっているのだが、心の中はざわつきそうで、今からかなり憂鬱な気分である。

(10月23日記)

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