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2014年10月 5日 (日)

ワンオペと多能工化

新聞等で先日報道されたことだが、牛丼チェーン「すき家」がこの十月から、全店舗の約6割にあたる約1200店舗で、午前0時から午前5時までの深夜営業を当面休止すると発表した。これによると、深夜一人で接客や調理を担当する「ワンオペ」などを背景とする過酷な労働環境が、深刻な人手不足を招いたという。

 私は現場を見たことがないので、軽々しく論じることはできないが、「ワンオペ」の負担は相当なものだったと想像する。お客の増減があまりなく、突発的なことも発生しなければ「ワンオペ」は効率的に機能するだろうが、店員も人間、お客も人間である。外食産業に限らず、人が動き回る現場というのは想定外のことが起きるものである。「ワンオペ」は、そこを一人で切り盛りさせる仕組みである。

 
そもそも、一人ですべてを担うというのは無理があると思う。私自身、他の業界で見聞きしたことがあるが、例えば取引先を一人だけで担当する場合、トラブルがあったり、その担当者が不在になった時に、大変な事故が生じやすい。顧客満足どころか、顧客トラブルが生まれやすい土壌になることを考えると、これは経営リスクと捉えるべきであろう。

 一方で、正反対なことに聞こえるかもしれないが、一人で複数の業務をこなせるスキルは習得が望ましいと考えられる。これは社員の“多能工化”と呼ばれたりするものである。実践している外食チェーンに、イタリア料理店を展開している株式会社サイゼリヤがある。同社を創業者した正垣泰彦さんの著書から引用してみよう。

《(スタッフの多能工化を図ることにより)キッチン担当、フロア担当と分業するのではなく、誰でも両方こなせるようにしておくことで、作業負荷に見合った配置が可能になる》
《サイゼリヤでは、キッチンのスタッフでもフロアが忙しくなれば当然のように手伝いに行く。その逆もしかりだ》

(『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』(2011年発行、正垣泰彦著、日経BP社))

 一人が一つのことしかできないのも、融通がきかず困るわけである。以上から、現場においては、複数の業務をこなせる担当者を、「正担当」「副担当」といった形で複数名置くのが望ましい基本形ではないだろうか。そういえば、わが家もそんな感じになりつつある。料理の「正担当」は妻で、「副担当」は私である。レパートリーはまだ多くないが、妻に外出の用事がある時は、私が夕ご飯を作って帰りを待っている。この“家庭版”多能工化は応用形である。ただ、調子に乗っていると、「次は、洗濯の副担当に……」などと言われかねないので、暫くは現状維持につとめようと思う。

(10月5日記)

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