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2014年8月18日 (月)

我が家で起きた『三方よし』の話

 『三方よし』という言葉がある。企業経営や経営学に知悉した方ならご存知と思うが、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という、近江商人の商売の心得を表した言葉である。売り手も買い手も満足し、かつ社会貢献できるのがよい商売である、という内容になる。

 
さて先日、我が家で突然奇声が上がった。妻が「ベランダに黒い虫がいて、洗濯物を干せない!」と叫び、ゴキブリ用の殺虫剤を探し始めた。ここは私の出番である。ベランダに出てみると、黒っぽい虫が仰向けにひっくり返ってもがいていた。妻は、足が六本ある黒い虫はすべてゴキブリと思ってしまうのだが、なんのことはない、コガネムシの一種だった。私がチラシの紙で虫を掬って空中に放り投げると、元気よく飛んでいった。

 
それにしても不思議である。何分もひっくり返って手足をバタつかせているのだから、死にかけの虫かと思いきや、まだまだ元気であった。どうも、この手の虫は起き上がるのが苦手らしい。コガネムシは甲虫で体が硬い表皮で覆われているため、無防備にひっくり返っていても、生命の危険がないということかもしれない。コガネムシを地上に配した造物主はよく考えているというべきか、あまり考えていないというべきか……。

 
この辺で“単独昆虫談義”は終わりにして、この“事件”を振り返ってみる。ゴキブリと間違われて殺虫剤で殺されかけたコガネムシは一命を取り留めた。妻は大嫌いな虫がいなくなり洗濯物を干すことができた。私は無用な殺生をせず妻に感謝された。コガネムシも妻も私も、ハッピーな結末となった。「コガネムシ助かる」「妻喜ぶ」「私満足する」ことになったというわけである。

 
しばらくして私は、「これって『三方よし』の好例じゃないか!?」となぜか思った。「商売、経営とは全然関係ないぞ」とツッコミを入れる声が聞こえてくる(気がする)。でも、ここは積極的に拡大解釈しようではないか。普段の日常生活で三方がみなハッピーになることは、そうあるものではない。そうそうない事態だからこそ、私は『三方よし』を思い出したと思うのである。

(8月18日記)

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