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2014年8月 5日 (火)

料理の失敗から学んだこと

 妻とよく観るテレビ番組に、TBS『噂の!東京マガジン』がある。この中に、「やってTry!」という料理コーナーがあり、一般人がさほど難しくない料理に挑戦するのだが、毎回殆どの人がちゃんと料理できずに終わってしまう。それをスタジオのレギュラー陣は優しく笑ってあげるのだが、人の失敗には凄い力があることを私は実感する。観ていると、心がスカッとする自分がいたりするのである。

 
さて、実生活で妻が料理に失敗した時は、どうするか。ここは心の広い夫として、上手いフォローが必要なところである。味がからきしダメな場合はなかなか難しいが、我が家では見た目が酷くなるケースが殆どである。失敗した妻の不本意そうな表情を確認すると、私は大抵こう言うことにしている。

「美味しい。見てくれは気にしないよ。味は変わらないから」

 
これで充分に、妻の気持ちを軽~くできているものと思っていた。が、そういうものではないことが最近分かった。こんなことがあったためである。

 
7月某日。午前中妻に外出の用事があったので、昼食は二人分私が作ることになっていた。トライした料理は、たこ焼き。本来夏に作るようなメニューではないが、ふと「もう何年も食べてないなあ」と思い、暑くなる前に、たこ焼き器を台所用品の中から引っ張り出して洗い、たこ焼き粉とたこ焼き専用ソースまで買って、準備だけは済ませていたのである。

 
料理は、レシピに沿って作るのが無難に違いない。たこ焼き粉のパッケージに書いてある通り、熱したたこ焼き器に油をひいて、水でといたたこ焼き粉を注ぎ、たこなどの具材を中央に乗せたところ、数分後に悲惨なことになった。鉄の棒で生地を丸くひっくり返そうにも、たこ焼き器にこびりついて焦げ始め、上手く離れないのである。

 
帰ってきた妻に慌てて報告したところ、「油が少なかったんじゃない?」と指摘されてしまった。パッケージには、《油を薄くひき、生地を流します(以下略)》と書いてあったのに……。油をもっと塗っておけばと反省するも、後の祭りであった。もう絶対にたこ焼きの形にはならない……。

 
この失敗を、私はどうリカバーしたか。たこ焼き器を逆さにして全部フライパンに移し替え、焼き直すことにした。“たこ入りお好み焼き”にメニュー替えしたのであった。

 
さて、食卓の席について食事タイムである。見事に失敗したことは、既に妻は知っている。私は苛立ちと落ち込んだ気持ちを隠しきれない。妻は“たこ入りお好み焼き”を口にすると、ニタリとした表情を浮かべて、こう言った。

「美味しい。見てくれは気にしないよ。味は変わらないから」

 
この時初めて、この程度のフォローでは、傷ついた心が癒されないことを私は悟った。

(8月5日記)

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