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2014年6月19日 (木)

会わない方がいい人も・・・

 外山滋比古さんの著書『忘却の力 創造の再発見』に、面白い一節があった。

 

《「名著を読んだら著者に会うな」というヨーロッパのことわざは、なぜ妥当なのか。本を読んで頭に描く著者像があっても、生身の人間とは大きく違うはずである。幻滅がおこるのはなぜか、よくわからない》

(『忘却の力 創造の再発見』(2008年発行、外山滋比古著、みすず書房))

 
どこの国のどういう原文の諺なのかまでは紹介されていなかったが、「名著を読んだら著者に会うな」は私の頭に残っていたある記憶と結びついた。以前、漫画家の倉田真由美さんの講演を聴きに行った際、同業者について印象深いことを仰っていたからである。

《(漫画の)作品が面白い漫画家ほど、ご本人は面白くない。本人が面白い漫画家は、本人の方が作品より面白い。だから、作品が面白い漫画家だからといって、会わなくてもいいかなと思う。実際、会えてよかったなあという漫画家はあまりいない》

 
へぇーと思う内容である。作品と作品を生みだした著者を一体化して見ない方がいいと諭したアフォリズムと言っていいかもしれない。さすがに実名は挙げられなかったが、倉田真由美さんにしても、幻滅までは感じなかったにしても、多少は期待外れの経験をされたことがあるのだろう。

 
翻って私自身は、名著の生みの親でも著名人でもないが、書いた文章と人物のギャップはあるのだろうか、とふと気になった。“面白さ”という観点で言えば、大して面白い文章は書いていないので、面白い人間ではないことと平仄が合っている気がするのだが…。そういえば最近の私は、殆ど人と会っていないので、これは暇にまかせた杞憂であった。

(6月19日記)

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