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2014年5月26日 (月)

家族だからこそ本音は言わない

 昨日の延長線上にある話を書いておきたい。《何でも本音で相手と話し合えるのがいい、というのはウソである》と記したが、これは家族においても当てはまると私は思っている。世間ではしばしば、“本音で何でも話し合えるのが理想の家族”といったことが言われるが、これへのアンチテーゼである。

 
具体的な例を挙げて考えてみたい。妻から夫への本音は、「もっと旅行や外食に連れていってほしい」「もっと家事を手伝ってほしい」「もっと子どもの世話をしてほしい」「もっと収入を増やしてほしい」「もっと私の話を聞いてほしい」等々…。夫が仕事で疲労困憊していれば、「わかった」と言えずに夫婦仲はこじれかねない。

 
夫から妻への本音は、「もっと部屋を片付けてほしい」「もっと休日に家でくつろがせてほしい」「もっと子どもをきちんとしつけてほしい」「もっと小遣いを増やしてほしい」「もっと夫婦で向き合う気持ちがほしい」等々…。妻が家事や育児に疲れ、夫の関与が少ないと思っていれば、やはり二人の仲はこじれかねないだろう。ある識者が実際に発言したのを耳にしたことがあるが、《日本の夫婦の8割は、何かしら問題を抱えている(うまくいっていない)》そうである。推測だが、夫婦が本音を言い合うことが、要因の一つになっているのではないだろうか。

 
子どもから親への本音というのもある。「(うちはお金が少ないから)欲しいものを買ってもらえない」「親の器量のせいで自分の顔が美形ではない」「古い価値観を押し付けてくる」「いつもがみがみうるさい」「(兄弟姉妹を)比較する」「自分を無条件で愛してくれない」等々…。そして往往にして、子どもが思春期にさしかかると親は接し方に苦労することになる。

 
以上述べたことから、私の言わんとすることが浮き出ているのではないかと思うが、私は、家族では、いや家族だからこそ本音は言い合わない方がいいと考えている。本音の上に乗っかっているものは、むき出しのままの自分の欲である。近い存在であるがゆえに高い期待を家族に対して持ち、そこへ自分の欲をぶつけるのであるから、衝突しないわけがない。遠慮なく本音を言い合うのは、家族が瓦解する元であると思う。

 
どんな美男美女も、年をとれば容色は衰える運命にある。それが誰の目にも明らかになった時、「おまえ(あなた)老けたなあ」と面と向かって本音を口にすることが、家族としてよいことなのかどうか、少し考えればわかることであろう。我慢は必要になるであろうが、家族であればこそ本音は胸にしまっておいて、相手の気持ちを慮りながら接するのが大切ではないかと思う。赤の他人であれば、本音を言って仮に関係が悪化しても縁が切れば済むが、家族の関係はずっと続いていくものだからである。

(5月26日記)

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