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2014年4月12日 (土)

父の洋服

 帰省をする度に、母親が「これを持って帰りなさい」とちょっとした土産を用意してくれる。中身は、食べ物、日用品、衣類などが多い。身長が私とほぼ同じということもあり、この衣類は大抵の場合、父親の洋服である。昔は、「僕には合わないからいらないよ」と辞退していたものだが、昨年あたりから心境が変わってきた。着られるものならもらっておこう、という気になってきたのである。

 
父の洋服といっても、いわゆる御下がりではない。まだ元気だった頃の父が、デパートなどで気に入って購入した品々だ。父は衝動買いを含めて色々と買ったようだが、外出をあまり好まなかったせいか、殆ど着ないままになったものが相当残っている。買ったことで満足したのだと思う。そんな品々の中から、綺麗で着られそうな洋服が、母の“審査”を経て私の目の前に広げられる。そして私は思うようになったのだ。「親父が気に入ったせっかくの服なんだから、僕が着ることにしよう」

 
単純に、「着られるものを捨てるのはもったいない」という思いもある。が、それ以上に父親が好んだものを息子である自分が着るのも素敵じゃないかと、思うようになったのである。病院で日中も眠りがちな父親は、私が仮にその洋服を着て行っても気づかないだろうから、これはあくまで息子である私個人の心の中の問題である。

 
次に、服を持って帰ったら、妻は何と言うかが気にかかった(注)。流行、ファッションの観点で、妻の御眼鏡にかなうものは殆どないだろう。かつ、妻も私も“断捨離”的な発想をするようになったので、トキメキを感じないものは家になるべく置かないようにしよう、と確認し合ってきたのだ。

 基本
はそうではあるのだが、今回父の洋服については、私は着て外出できる先があることに気づいた。それは図書館。近くにある図書館は、日々大勢の中高年が利用しているが、その風貌を見ると、「親父の服でもなんとかいけるな」という妙な自信が得られる。しかも、見知った人がそこにいるわけではないから、余計に気が楽である。そういえば、私が普段愛用している自転車も、年季の入った“ママチャリ”である。時代遅れの洋服を着て、ママチャリ漕いで図書館に向かうおっさん――誰も気に留めたりしないに違いない。

(注)今回の洋服は、「持ってきちゃった」と話をしても、妻から「処分したら?」とは言われずに第一関門を突破した。ただ、まだタンスには収納されておらず、予断を許さない状況にある(12日時点)。

(4月12日記)

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