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2014年1月12日 (日)

立ち位置変われば、見方が変わる

 とても気になる企業がある。アパレル業界の雄、ファーストリテイリング(ユニクロ)である。1990年代に巻き起こったフリースブームの頃から、安くて着心地のいい服が気に入っていて、随分重宝してきた。今でも、下着や普段着を買おうと思った時は、ユニクロは妻とともに真っ先に立ち寄るお店である。

 
そんなユニクロが、いつの頃からか世間で叩かれるようになった。これは、『ユニクロ帝国の光と影』(2011年発行、横田増生著、文藝春秋)(注)や『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(2013年発行、大宮冬洋著、ぱる出版)などで、社員がハードワークにより追い込まれる様子が描かれた始めたせいだろう。近年は、大量採用・大量離職を特徴とする“ブラック企業”と見る向きも出てきたようだ。ユニクロへの就職が決まった学生を心配する人もいるらしく、複雑な思いである。

(注)『ユニクロ帝国の光と影』については、ファーストリテイリングは、文藝春秋に対する名誉棄損訴訟で、20131018日に東京地裁で下された判決を不服として、20131029日に東京高裁に控訴している。

 
一方で、先日、とても興味深い話を知人から聞いた。「ユニクロは障害者の雇用率が非常に高い」と言うのだ。従業員50名以上の民間企業では、障害者を2%以上雇用することが法律で義務付けられている。関心を持って調べてみると、ユニクロは実は2001年より「1店舗1人以上」を目標に障害者雇用に取り組んできており、2012年度の雇用率は6.43%(企業グループベース、出典:同社ホームページ)に達している。この点に着目すると、ユニクロの“社会及び従業員に優しい企業”という別の姿も見えてくる。

 
また、日本の繊維・アパレル業界を俯瞰すると、過去何十年にも亘って衰退してきたが、そのなかでユニクロはSPA(製造小売業)という業態を採り、在庫・販売リスクを負いつつ業容を急速に拡大、2001年頃より海外展開を本格的に開始している。足元では、スウェーデンのH&M、米GAP、スペインZARAといった海外の巨大アパレル企業と、グローバルで凌ぎを削るポジションにある。そういった、日本を代表するアパレル企業という観点で言えば、日本人として「世界のトップに立ってほしい」と応援したいという気持ちも湧いてくるのだ。

 このように、どういう視点からユニクロを見るかで評価は変わってくると思う。黒か白かという単純な二択で判断することは、到底できそうにない。立ち位置変われば、見方が変わる。今日は、ユニクロを一例として、そういうことを考えてみた。

(1月12日記)

 

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